
運動能力をサポートするバラスト・トラクターのタイヤ
トラクタータイヤのバラスト調整で機動性をサポート
要約 :
トラクタータイヤのバラスト調整の必要性とは ?
トラクタータイヤのバラスト調整とは、トラクターに重り(バラストウェイト)を負荷して車体のバランスを調整することです。バラスト調整には、トラクターを安定させて転倒を防ぐ役割があります。
適切なバラスト調整により、トラクターのグリップ力が改善され、牽引力が高まります。その結果、トラクタータイヤのスリップ率を下げることが可能です。トラクタータイヤのバラスト調整は、燃料の節約だけでなく、作業の効率化とトラクタータイヤの長寿命化に役立ちます。
また、畑での作業効率が向上するでしょう。

適切なバラストを使用して、現場での効率を上げる
トラクタータイヤのバラスト調整方法
トラクターにウェイト(重り)を追加することで、バラスト調整が可能です。自分で調整することも、ディーラーに依頼することもできます。
バラスト調整によってトラクターの良好な牽引力を得る目安は、「馬力あたり約50kgのウェイト追加」です。トラクターの馬力数に50kgをかけることで、必要な重量を算出できます。トラクターメーカーの推奨事項がある場合は、指示に従いましょう。
バラスト調整の目的は、トラクターの前輪と後輪の間で荷重のバランスをとることです。例えば、トラクター後部に取り付けた作業機によって前輪の荷重が失われてトラクターのバランスを崩す場合は、前部にウェイトを追加してバランスを維持する必要があります。
フロントローダーを装着したトラクターは、後部にウェイトを追加することでバランスを取りやすくなります。
特に、パワーを求められる深耕などの作業時、軽量のトラクターでは牽引力を発揮することが難しいケースがあります。バラストを追加することで、トラクターのパワーウェイト比を調整できるため、作業の効率化も図れるでしょう。
バラスト調整では適切なバランスの見極めが大切
トラクターの作業効率を維持するためには、車体前後の荷重のバランスを取る必要があります。
トラクターによっては、トランスミッション(変速装置)のサイズと配置により、「前輪に40%・後輪に60%」といった具体的な荷重配分が推奨されています。

バラストはトラクターの前部と後部のバランスを回復するのに役立ちます
メーカーやトラクターの種類などによって対応が異なるため、推奨事項の有無をチェックしておきましょう。
一般的に、トラクターの後部に重い作業機を取り付けた場合、前部に重りを追加してバランスを取り直す必要があります。しかし、すでに重いトラクターの前部にバラストを追加してしまうと後部の荷重が失われ、牽引力の低下と前輪への過負荷につながります。その結果、スリップ率が上昇しやすくなるため、注意が必要です。
トラクタータイヤのスリップは、機械やタイヤに影響を及ぼすだけでなく、土壌にダメージを与え、燃料消費量を増加させます。牽引力の不足やトラクターの操作性の低下を感じた際は、適切なバラスト調整についてディーラーへの問い合わせをおすすめします。
トラクターにおけるバラストウェイトの固定方法
バラストウェイトは、トラクターの車輪に固定できます。
また、前部や後部のリフト装置など、農業機械のさまざまな部分に取り付けることも可能です。必要に応じて、トラクターの下部に取り付けて重心を下げながら、前後の荷重バランスを維持するケースもあります。

バラストウエイトの固定方法
トラクタータイヤに水を入れるバラスト調整方法
液体によるバラスト調整の仕組み
機械の重量を増やしたり重心を下げたりするために、トラクタータイヤに水を入れるバラスト調整方法もあります。
ここでは、トラクタータイヤに水(液体)を入れてバラスト調整を行う方法について解説します。
農業用バルブは通常、「空気と水」用です。そのため、トラクタータイヤに液体(水+不凍液)を最大75%まで充填することができます(図1)。

液体入りタイヤのバラスト
冬場は気温が氷点下になることもあります。凍結を防ぐため、0℃以下ではグリコールベースの不凍液を使用する必要があります*。
上限まで水を入れてバラスト調整するためには、空気を抜きながら、バルブの位置までチューブレスタイヤまたはインナーチューブに液体を充填します(図2)。
圧力を与える空気が少なくなるため(全体積の約25%)、定期的な圧力レベルの確認が不可欠です。トラクタータイヤの空気圧は定期的にチェックしましょう。

膨張と圧力は空気で調整
A: 水 B: 空気
トラクタータイヤに水を入れるバラスト調整の手順
チューブレスタイプのトラクタータイヤに水を入れてバラスト調整する手順は、以下のとおりです。:
- チューブレスタイヤを組み立てて位置を調整する。
- タイヤの空気圧を低圧(約0.5バール)まで下げる
- 最も高い位置にバルブを置く空気を抜きながら、液体(水+不凍液)をタイヤに最大75%まで充填する(図2)
- 仕上げに空気圧を調整する.
トラクター以外の農業機械におけるバラスト調整
バラスト調整はトラクターだけでなく、他の農業機械にも活用されています。
例えば、フォレージハーベスターやコンバインの場合、前部に取り付ける作業機とのバランスを取るために、機械の後部に重りを追加するオプションを用意しているメーカーもあります。
主に傾斜地で使用する自走式スプレーヤー・高床式トラクター・収穫機などにも、バラスト調整が必要になることがあります。
例えば重心が比較的高い高床式トラクターは、急勾配の地形での作業は転倒するリスクが高まるためです。このような条件下での安全性を高めるために、ウェイトや液体を重りにして機械の重心を下げることが一般的です。
トラクタータイヤのバラスト? 調整に関連したよくある質問
* ミシュランタイヤはこれらの製品の設計に関与していないため、タイヤに関連する損害の責任は負いかねます。