雪道を走行するトラック
Winter Wonderland Road: A picturesque snowy road winds through a pristine landscape, capturing the serene beauty and challenges of winter travel
冬用タイヤの寿命・交換時期・保管方法・メンテナンス・チェーン対応
トラック・バスが雪道を安全に走行するためには、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の活用が欠かせません。
安全走行のために事業者が押さえておきたい、冬タイヤの寿命や交換時期、保管・空気圧管理・メンテナンス方法、タイヤチェーンの装着などについて解説します。「いつから冬タイヤに交換すべきか迷う」という方に向けて、冬タイヤへの交換タイミングの目安も紹介していますので、参考にしてください。
冬タイヤの寿命や交換時期の目安
低温下でも安全に走行するためには、タイヤの寿命を見極めることが大切です。
ここでは、冬タイヤ使用時に気になる、タイヤの寿命や交換時期の目安を紹介します。
(1)冬タイヤの寿命は約3~4年程度
新品で適切に保管していた冬タイヤの寿命は、約3~4年程度といわれています。
ただし、選ぶタイヤや使用・保管状況によっても耐用年数は異なるほか、走行距離が長く使用頻度も多いトラックやバスであれば、3年より短くなる可能性も十分に考えられます。
年数だけでなく、次に紹介する交換時期の目安なども参考にしながら、定期点検を行いましょう。
(2)冬タイヤの交換時期の目安
冬タイヤの交換時期の目安は、プラットフォームが露出したときです。
積雪や凍結路を走行する際は、「新品タイヤの50%以上の残り溝」が必要になります。プラットフォームは、冬タイヤの溝の深さが半分程度になるまで摩耗したときの目印となります。
冬タイヤのサイドウォールに刻印されている小さな矢印マークの延長線上には、凹凸があります。通常であれば盛り上がっている凸部分が凹部分と同じ高さになっていれば、冬タイヤの交換時期です。
冬タイヤのプラットフォームのクローズアップ
出典・画像引用:冬用タイヤの安全性を確認することをルール化しました。|国土交通省
冬タイヤの保管方法
シーズンオフした冬タイヤを長持ちさせ、コスト削減につなげるためにも、適切な保管方法を把握しておくことは大切です。
使い終わった冬タイヤは、塩分や油分を落とし、よく乾かしてから、屋根のある通気性の良い場所に保管しましょう。紫外線にさらされたり、直射日光が当たり高温になったりする環境では、タイヤのヒビ割れが起こりやすくなります。
雨や水、油類、ストーブ類の熱源および電気火花の出る装置に近い場所などを避けて保管することも重要です。
冬タイヤのメンテナンスのポイント
令和3年より冬用タイヤの安全性確保がルール化され、規則に違反した場合は罰則が課せられることになりました。
事業者として、適切なメンテナンスを実施しましょう。
(1)プラットフォーム・スリップサインの確認
冬タイヤのプラットフォームが露出していないか、定期的にチェックしましょう。
夏タイヤであれば、「スリップサイン」が出現するまで使用可能です。一方、プラットフォームが露出した時点で冬タイヤとしての性能は期待できなくなるため、冬タイヤの交換時期には注意が必要です。
(2)空気圧の管理
空気圧は、車輌メーカーが推奨する範囲になるよう設定しましょう。
正しい空気圧を測定するためにはエアゲージを使用し、タイヤが冷えた状態で実施することが大切です。
バルブコアーに付着した雨や雪が凍結すると、バルブが押され空気漏れを起こす恐れがあります。冬季は特に、バルブコアーからの空気洩れに注意して点検してください。
空気圧の点検は基本毎日の確認が大切です。新品の冬タイヤを装着した場合は、特に点検頻度を増やす必要があります。また、安全走行を徹底するためには、運転前点検にて毎日確認することが推奨されます。
関連ページ:トラック・バス用タイヤの適正空気圧とは?
関連ページ:タイヤ空気圧計算機・計算ツール
いつから冬タイヤに交換すべき?
いつ夏用タイヤから冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)に交換すべきかお悩みの方に向けて、交換タイミングの目安を紹介します。
(1)余裕をもった交換がおすすめ
冬タイヤは、慣らし走行によってゴム本来のグリップ性能が引き出されます。十分な慣らし走行のうえで安全走行するためにも、冬タイヤの早期装着がおすすめです。早めに交換しておくことで、タイヤ交換を依頼する際の混雑を避けられるメリットもあります。
なお、冬タイヤにする際サイズを変更すると、ブレーキ性能やコーナリング性能が低下する恐れがあります。冬タイヤでサイズ変更を検討する際は、メーカーのタイヤサイズ対応表をチェックのうえ、安全性に問題がないことをしっかり確認しましょう。
(2)【地域別】冬タイヤへの交換タイミングの目安
トラックやバスの運行ルートによって、冬タイヤへの交換が必要となる時期は異なります。
ここでは、地域別の冬タイヤへの交換タイミングの一般的な目安を紹介します。
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北海道地方:9/18~
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東北地方:10/8~
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甲信越地方:10/18~
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北陸地方:10/24~
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関東地方:11/8~
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中部地方:11/12~
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近畿地方:11/9~
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中国地方:11/4~
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四国地方:11/17~
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九州地方:11/9~
関連ページ:ミシュラン トラック用タイヤ
関連ページ:ミシュラン バス用タイヤ
冬タイヤにもチェーン装着が必要
冬タイヤで走行していても、必要に応じてタイヤチェーンの装着が求められます。タイヤチェーンは、タイヤサイズに適合するサイズのものを駆動輪または自動車製作者が指定する位置のタイヤに装着しましょう。また、タイヤチェーンを装着した場合は、以下の速度で走行してください。
積雪路及び凍結路における走行速度(km/h)
- 金属製チェーン:30km以下
- 非金属製チェーン:50km以下
ここからは事業者が押さえておくべき、タイヤチェーン装着に関するポイントを紹介します。
(1)規制対象区間
チェーン規制の改正により、冬タイヤを装着していたとしても、規制対象区間におけるチェーンの装着が義務化されました。
以下の規制対象区間においては、チェーン規制発令時にチェーンを装着していなければ通行できないため、注意が必要です。
【直轄国道】
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山形県:路線番号112/月山道路(西川町月山沢~鶴岡市田麦俣区間)/15.2km
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山梨県・静岡県:路線番号138/山中湖・須走(山梨県山中湖村平野~静岡県小山町須走字御登口区間)/8.2km
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新潟県:路線番号7/大須戸~上大鳥(村上市大須戸~村上市上大鳥区間)/15.3km
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福井県:路線番号8/石川県境~坂井市(あわら市熊坂~あわら市笹岡区間)/3.2km
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広島県・島根県:路線番号54/赤名峠(広島県三次市布野町横谷~島根県飯南町上赤名区間)/2.5km
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愛媛県:路線番号56/鳥坂峠(西予市宇和町~大洲市北只区間)/7.0km
【高速道路】
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新潟県・長野県:路線番号E18/上信越道(信濃町IC~新井PA(上り線)区間)/24.5km
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山梨県:路線番号E20/中央道(須玉IC~長坂IC区間)/8.7km
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長野県:路線番号E19/中央道(飯田山本IC~園原IC区間)/9.6km
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石川県・福井県:路線番号E8/北陸道(丸岡IC~加賀IC区間)/17.8km
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福井県・滋賀県:路線番号E8/北陸道(木之本IC~今庄IC区間)/44.7km
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岡山県・鳥取県:路線番号E73/米子道(湯原IC~江府IC区間)/33.3km
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広島県・島根県:路線番号E74/浜田道(大朝IC~ 旭IC区間)/26.6km
出典:国土交通省ウェブサイト「チェーン規制について」をもとに弊社作成
【「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の規制標識】
以下の道路標識は、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」を示します。
「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」を示す道路標識
出典・画像引用:雪道でノーマルタイヤはNG! - JAMA BLOG |一般社団法人日本自動車工業会
(2)タイヤチェーンの装着方法
トラック・バスなどへのタイヤチェーンの装着方法を紹介します。
1. チェーンの裏表に注意しながら、タイヤにチェーンを被せます。前輪へ取付する場合は、右タイヤは右へ、左タイヤは左へハンドルをめいっぱい切っておくと作業がしやすくなります。
タイヤチェーンの裏表の確認方法
2. タイヤの裏に手を伸ばし、チェーン内側のフックを留めます。フックが届かない場合は、チェーンを左右に揺り動かして引き寄せると作業がしやすくなります。
タイヤの裏側でチェーン内側のフックを留める様子
3. チェーンを均等に整えたあと、外側のフックを留めます。フックが届かない場合は、同じくチェーンを左右に揺り動かして引き寄せると作業がしやすくなります。
タイヤチェーンの外側フックを留める様子
4. 金具の連結部を起点にしながら、ゴムバンドまたはスプリングを均等に掛けます。バンドのフックもタイヤを傷めないように、外側に向けておきましょう。
ゴムバンドまたはスプリングをかける様子
出典・引用:国土交通省中部地方整備局 三重河川国道事務所|タイヤチェーンの種類・付け方をもとに文章を作成
(3)タイヤチェーン装着時の注意点
タイヤチェーン装着時は、以下のポイントに注意しましょう。
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タイヤサイズに適合したタイヤチェーンを装着する
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駆動輪または自動車製作者が指定する位置に装着する
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スリップやタイヤ・車両・タイヤチェーンの損傷につながるため、タイヤチェーンを装着したまま、積雪・凍結していない道路を走行しない
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積雪路および凍結路において、金属製チェーン装着時は30km/h以下、非金属製チェーン装着時は50km/h以下の速度で走行する
冬タイヤを適切に活用しましょう
冬タイヤの寿命や交換時期は、プラットフォームの露出確認などによって見極められます。定期的な点検・メンテナンスで冬タイヤの状態をチェックし、適切に活用してください。
冬タイヤに交換済みの場合でも、必要に応じてタイヤチェーンを装着し、安全走行に努めましょう。
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