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Inspection des pneus sur un camion
トラックタイヤ・バスタイヤの適正空気圧は?注意点や点検方法
トラックタイヤ・バスタイヤの性能を最大限に発揮しながら安全に走行するためには、適切な空気圧を維持することが重要です。幅広い車種・用途のタイヤを取り扱うミシュランタイヤが、トラック・バス用タイヤの適正空気圧表をはじめ、空気圧の不足や過多によるデメリットや注意点、推奨される空気圧の調整・点検方法などを解説します。
小型~大型トラックやマイクロバス・観光バスなどの管理者は、ぜひ参考にしてください。
目次
トラック・バスタイヤの適正空気圧
【積載量別】トラックタイヤ空気圧の適正値の目安
エクストラロード(XL)規格にも注意
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧が不足・過多の状態で生じるデメリット
(1)タイヤの空気圧不足によるデメリット
(2)タイヤの空気圧過多によるデメリット
(3)燃費に関するデメリット
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧が変動する理由
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧の点検方法とポイント
(1)走行前のタイヤが冷えている状態で点検を始める
(2)適性空気圧を確認する
(3)安全囲いを設置する
(4)エアバルブのキャップを取り外す
(5)空気圧を測定する
(6)空気圧が適正値になるよう調整する
(7)エアバルブのキャップを閉める
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧に関する重要な注意事項
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧を適正値に調整しましょう
トラック・バスタイヤの適正空気圧

ミシュランタイヤの空気圧を点検しているイメージ
車両重量が大きいトラック・バスタイヤの適正空気圧の目安、エクストラロード(XL)規格について紹介します。
【積載量別】トラックタイヤ空気圧の適正値の目安
トラックタイヤにおける空気圧の適正値は、一般的には車両重量によって以下の3種類に分けられます。
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2tトラック:5.0~6.0kgf/㎠・500〜600kPa
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4tトラック:7.0~8.0kgf/㎠・700〜800kPa
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10tトラック(大型トラック):8.5~10.0kgf/㎠・850〜1000kPa
参考値のため、車種やメーカーや使用状況によって適正値は異なります。運転席のドアの開口部に、タイヤ空気圧の適正値が記載されていることが一般的です。取扱説明書にも記載があるため、確認してみましょう。
エクストラロード(XL)規格にも注意
XLタイヤとは、同じサイズの標準的なタイヤより多くの空気を充填でき、重い荷重を支えられるよう強化されたタイヤのことです。
同じタイヤサイズであっても、JATMA規格(日本タイヤ規格)とETRTO規格(エクストラロード規格/欧州タイヤ規格)のタイヤでは、ロードインデックス(LI)が異なります。タイヤ規格に合わせた必要空気圧を確認しましょう。
ミシュランタイヤが推奨するトラック・バス用タイヤの空気圧(空気圧別荷重能力対応表)は、以下からご確認いただけます。小型~大型トラック、マイクロバス・路線バス・観光バスなど、車両タイプ別空気圧のチェックのお役立てください。
関連ページ:タイヤ空気圧計算機・計算ツール
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧が不足・過多の状態で生じるデメリット
空気圧は、高すぎても低すぎてもタイヤに良い影響を与えません。
タイヤの空気圧が適正でない状態で走行を続けた場合、以下のような悪影響が及ぶ恐れがあります。
(1)タイヤの空気圧不足によるデメリット
タイヤの空気圧が足りないケースにおけるデメリットは、次のとおりです。
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タイヤの耐久性:
タイヤが路面に当たりやすくなり、偏摩耗につながる
ケーシングの耐久性の低下や、疲労の蓄積を招く恐れがある -
車の操安性:
ハンドル操作がしづらくなる -
快適性:
路面の衝撃を吸収しづらくなる -
外傷の受けやすさ:
過度な発熱や衝撃による、はく離(セパレーション)・コード切れ・タイヤの損傷・バーストが起こりやすくなる

空気圧が足りないタイヤのイメージ
(2)タイヤの空気圧過多によるデメリット
「適正値より10%程度高め」程度に収まっている場合は燃費や走行の安定性が改善する可能性もありますが、高過ぎる空気圧には注意が必要です。
タイヤの空気圧が高過ぎるケースにおけるデメリットは、次のとおりです。
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タイヤの耐久性:
中央部のみが路面に当たりやすくなるため、センター摩耗につながる -
車の操安性:
発進時や制動時にタイヤがスリップしやすい -
快適性:
路面の段差を感じやすくなり、乗り心地が悪化する -
外傷の受けやすさ:
接地面(トレッド面)が傷つきやすくなるほか、ショックバーストやコード切れを起こしやすくなる

空気圧過多のタイヤのイメージ
(3)燃費に関するデメリット
空気圧は、燃費にも悪影響を及ぼします。 空気圧が不足している場合、タイヤの転がり抵抗を増加させ、燃料消費が多くなります。
【例】150kPaの空気圧不足 = 燃費が1%過剰消費される
※タイヤの空気圧が推奨の900kPaではなく、750kPa7.5 bar(109 psi)に設定されている場合
以下のグラフは、22.5インチトラック用タイヤにおける空気圧不足が燃費に与える影響を示しています。空気圧が推奨値より10%、20%、30%低下するにつれて、燃費が悪化する傾向があります。
適正な空気圧を維持することが、燃費効率と運用コスト削減に重要です。

燃費悪化のイメージ
以下は、タイヤの空気圧が適正範囲から外れると、タイヤ寿命とコストにどのような影響を与えるかを示した図です。
空気圧が20%不足した場合、タイヤ寿命は約19%減少し、逆に空気圧が20%過多の場合も寿命が約23%減少します。
その結果、適正空気圧で使用した場合と比べて1kmあたりのコストが30%増加し、トラック1台分(10本使用)で約3本分のタイヤコスト増につながります。
適切な空気圧管理を行うことで、タイヤ寿命を最大限に活かし、運用コストを抑えることが可能です。

空気圧によるタイヤライフへの影響
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧が変動する理由
タイヤは以下のように、さまざまな理由で空気圧が低下します。
タイヤトラブルがなくても自然に空気が漏洩していくため、定期的な空気圧チェックを行いましょう。
A: 自然漏洩
B:貫通傷(パンク)
C:バルブの劣化
D:ホイールリムの気密性

空気の漏洩
車載空気圧監視システムとは別に、目視やエアゲージを使用した定期的な点検が、タイヤの空気漏れによるトラブルを発見する最も一般的な方法です。
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧の点検方法とポイント

ミシュランタイヤの空気圧を点検しているイメージ
タイヤの空気圧点検は、スペアタイヤも含め、車両に装着されているすべてのタイヤで実施する必要があります。タイヤに窒素を入れていても、定期的な点検が必要です。
最低でも1ヶ月に1回は、エアゲージを使って空気圧を点検しましょう。安全性を確保するためにも、運行前点検として毎日の確認が推奨されています。ここでは、空気圧の点検手順を紹介します。
(1)走行前のタイヤが冷えている状態で点検を始める
走行後の高温になった状態では、空気圧が上昇しているため、正確な空気圧を測定できません。点検を始める前に、タイヤが冷えていることを確認しておきましょう。
たとえ短距離であっても、いったん走行するとタイヤが熱を持ち、空気圧が高くなります。そのため、空気圧の点検は走行前の早朝に実施することが理想的です。
一方、気温が下がるとタイヤの空気圧は下がります。外気温が0度以下のときは、屋外での空気圧点検を避け、できる限り暖かい建物内でチェックするようにしましょう。
(2)適性空気圧を確認する
運転席のドア付近の表示や取扱い説明書の案内などから、タイヤの適性空気圧を確認しましょう。
前輪と後輪では、適正値が異なるケースもあります。後輪がダブルタイヤの場合は、外側と内側が等しい空気圧になるよう調整が必要です。
なお、スペアタイヤの場合、普通タイヤの約2倍の空気圧が適正値となります。タイヤ側面などに記載された適正値を確認してください。
(3)安全囲いを設置する
空気充填を行う際は、必ず安全な場所に安全囲い(セーフティケージ)を設置しましょう。
(4)エアバルブのキャップを取り外す
ホイールカバーの内部にあるエアバルブから、タイヤのバルブキャップを外します。軍手などを装着した状態より、素手のほうが作業しやすいでしょう。
(5)空気圧を測定する
キャリブレーション(校正)済みのエアゲージを使って空気圧を測定します。特に扁平タイヤの空気圧不足は見た目では分かりづらいため、必ずエアゲージを使用してください。
空気が抜けてしまわないよう、空気充填機のエアチャックをエアバルブに押しあてる角度に注意が必要です。
(6)空気圧が適正値になるよう調整する
エアゲージの測定値を確認しながら、空気圧が適正値になるよう調整しましょう。プラスボタンで空気を入れ、マイナスボタンで空気を抜くことが可能です。
タイヤの破裂などの危険を避けるため、タイヤのトレッドパターンの方向に沿って、最低でも3m以上離れて作業を行いましょう。
(7)エアバルブのキャップを閉める
空気圧が調整できたら、エアバルブのキャップを閉めて完了です。調整した空気が抜けてしまわないよう、キャップの閉め忘れには注意しましょう。
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧に関する重要な注意事項
車両と道路間の唯一の接点であるタイヤを安全に運用するためには、適正空気圧での使用が不可欠です。車両に装着されているすべてのタイヤの空気圧点検を実施しましょう。
ここでは、トラック・バス用タイヤタイヤの空気圧に関する注意点を紹介します。
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空気圧は、タイヤが冷えた状態で点検してください。 車両の走行中は空気圧が上昇します。タイヤが熱い状態では、決して空気圧を下げないでください。
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空気圧が低いとタイヤが高温になり、タイヤ内部の構成部品の熱劣化につながる恐れがあります。 劣化すると元に戻らず、タイヤの急激な空気圧低下を引き起こす可能性があります。
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空気圧不足のまま使用されたタイヤに空気充填する場合は、十分な注意が必要です。空気を充填する前に、タイヤの担当セールスまたは取り扱い店へ、タイヤ内部の点検を相談してください。
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タイヤの空気圧が1,000kPaを超える場合は、高速走行での使用をお勧めしません。
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冷えた状態で計測したタイヤの空気圧が規定値より60kPa以上低い場合は、直ちに調整してください。
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タイヤ空気圧は、走行前のタイヤが冷えている時に定期的(整備時にも)に、キャリブレーション(校正)済みエアゲージを使って点検してください。
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取り扱いには十分注意してください。
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空気圧が十分でないと、ハイドロプレーニングのリスクを大幅に高めます。
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空気圧過多は、急速で不規則な摩耗を引き起こし、衝撃に敏感になります(トレッドやケーシングの損傷)。
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タイヤに窒素を入れていても、空気圧は定期的に点検する必要があります。
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1本のタイヤが他のタイヤよりかなり熱いと思われる場合は、そのタイヤも取り外し、安全上の指示に従って点検してください。
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通常、同じ車軸のタイヤの空気圧は同じ値であることが推奨されます。
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タイヤの空気圧は、タイヤを取り付けてから24時間後に点検してください。
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タイヤは、荷重、速度、使用条件に見合った空気圧にする必要があります。
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空気圧に関するガイドラインは、荷重と空気圧の表に示されています。
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バルブキャップはバルブからの空気圧漏洩を防ぐ部品であり、必ず装着しなければなりません
(注意: バルブコアは、タイヤに空気を入れるための一方通行のバルブとして機能します。密閉するためのものではありません)。
ドライバーと輸送品の安全確保はもちろん、トラックタイヤ・バスタイヤの性能を最大限に発揮して走行時の快適性を維持するためにも、空気圧の管理は欠かせません。 該当荷重と巡航速度に対する適正空気圧を維持しましょう。

タイヤの空気圧チェックに関する推奨事項
トラックタイヤ・バスタイヤの空気圧を適正値に調整しましょう
タイヤの空気圧は、安全性やパフォーマンスに影響します。トラック・バス用タイヤの空気圧を適正値にキープできるよう、定期的な点検を実施しましょう。
トラック・バス用タイヤについては、以下のページも参考にしてください。