トラックに装着されたミシュランタイヤのクローズアップ画像
Zoom sur les roues d'un camion équipé en pneus Michelin
タイヤの運用アドバイス|トラック・バス用タイヤ向け
トラック・バス用タイヤ・ホイールの交換・装着、タイヤの偏摩耗とローテーション対策、タイヤの点検と保管方法、各種注意点など、タイヤの運用アドバイスを紹介します。
トラック・バス用タイヤを安全・快適かつ長くお使いいただくための参考にしてください。
トラック・バス用タイヤの交換・装着
(1)タイヤ交換・装着時の注意点
【一般的な注意点】
- 作業従事者は、常に安全を確保するために保護服(耳あて、手袋、安全靴など)を着用してください。
- 作業従事者は、実施する作業について正しい訓練を受け、適切な機器を使用してください。
- 車両はエンジンのスイッチを切って静止させ、安全性を確保してください(パーキングブレーキ、車輪止めブロック、ジャッキなど)。
【装着に関する注意点】
ホイールや部品が、適正・清潔・良好な状態であることを確認しましょう。
タイヤとホイールの間違った装着は、タイヤと車両の損傷と人身事故(重傷または死亡事故)を招く恐れがあります。新品タイヤ・使用中のタイヤに関わらず、以下に注意してください。
- タイヤとホイール、タイヤと車両、タイヤと用途の適合性を確認してください。
- タイヤのサイドウォールに記載されている位置、装着方向、ローテーション方向などの指示を守ってください。
- タイヤ内部が清潔かつ乾燥していて、異物がないことを確認してください。 すでに使用されているタイヤについては、タイヤの内部に空気圧不足の兆候(斑点、シワ)がないか注意深く観察してください。
- チューブレスホイールの場合はバルブシールリングを、チューブタイプのホイールの場合はチューブとフラップを交換してください。
- メーカーが推奨する空気圧まで、安全に配慮してタイヤに空気を充填してください。 すべての部品が正しく配置されていることを確認してください。 装着したタイヤに向かって立たず、 少なくとも3メートル離れて、トレッドと一直線上に立ってください。 必ず防爆ゲージを使用してください。
【バルブの検証に関する注意点】
- 経年劣化とブレーキによる高温に対応するため、バルブシールリングと延長バルブはタイヤ交換のたびに交換しなければなりません。
- 空気漏れがないように、バルブキャップの状態が良好であることを確認してください。
- 複輪タイヤ装着の場合、バルブは常に互いに向き合うように配置します。
トラック用バルブのイラストイメージ
(2)長期経過タイヤの交換
スペアタイヤも含め、使用開始から5年以上が経過したタイヤは、継続使用に適しているかどうか、すみやかにタイヤ販売店等での点検を受けることを推奨します。タイヤはゴム製品であり、ゴムの特性の経時変化にともなってタイヤの特性も変化するためです。
外観上では使用可能に見えたとしても、製造後10年を経過したタイヤは新しいタイヤに交換しましょう。
なお、5年・10年という期間は目安であり、環境・保管条件や使用状況によって適切な交換時期は異なります。
関連ページ:ミシュラン トラック用タイヤ
関連ページ:ミシュラン バス用タイヤ
関連ページ:ミシュラン トラック・バス・小型建設機械用タイヤカタログ
トラック・バス用タイヤのホイール取り外し・点検・装着
(1)ホイールの取り外し
ホイールを車体から取り外す前に、車両のホイール取付け方式(ISOまたはJIS)を確認しておきましょう。
(2)ホイールの点検
ホイールの状態は定期的に点検し、 ひび割れたホイールやリムは交換しましょう。
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ホイールの表面の状態(バリ、緩み、剥がれなど)
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ボルト穴の状態(変形、亀裂など)
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スタッドボルトの状態(変形、繊維の状態など)
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ナットの状態(変形、繊維の状態など)
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腐食(必要に応じてワイヤーブラシで除去する)
(3)ホイールの装着
1. 「ハブとホイールの接地面」「スタッドボルトとナット」の汚れを取り除く
2. スタッドボルト・ホイールナットに潤滑剤を塗る
3. トルクレンチを使い、規定トルク値で締め付ける
ホイールナットは、キャリブレーション(校正)されたトルクレンチを使用し、正しいトルク値で締め付けましょう。パンク時にホイールの取り外しが容易になり、スタッドボルトに歪みが生じず、安全に作業を行えます。車両メーカーが推奨する方法に従い、推奨締め付けトルクを使用してください。
ナットは下図のように、ナットの数に応じて対角線上に交互に締めます。 正反対の回転順序により、合わせ面は正方形で均等に引き合わされます。
ホイールナットを締める順番を示すイラストイメージ
十分な締め付けが重要である一方、過度の締め付けは、スタッドボルトの変形や亀裂、ホイールナットが歪むことによるホイールの緩みなどを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
※50-100キロメートル走行後に、キャリブレーション(校正)されたトルクレンチを使ってホイールナットの締め付けを再確認してください。 増し締めを行う際は、ナットを緩めてから増し締めする必要があります。
関連ページ:バス・トラックタイヤのサイズの見方、リムサイズから事業用タイヤを探す
トラック・バス用タイヤの点検
トラック・バス用タイヤは、定期的な点検を行いましょう。
点検方法と注意点を解説します。
(1)点検方法
車両が静止していること・エンジンのスイッチが切れていること・車両が完全に固定されていることを確認してから、主に以下を点検しましょう。
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トレッドに異常摩耗、切り傷、変形、異物(石、ボルト、釘など)の混入などの兆候がないか
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サイドウォールに切り傷、衝撃による損傷(縁石などへの乗り上げによるピンチカット)、縁石との擦れ、異常な変形がないか
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タイヤの溝深さに問題がないか
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タイヤの空気圧に問題がないか
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ホイールナットの緩み、脱役や、ホイールボルトの折損、変形などの異常がないか
(2)点検時の注意点
積雪および凍結路走行の場合は、冬用タイヤの残り溝が新品時の50%以上あることを確認してください。使用限度は、接地部に冬用タイヤの摩耗限度を占めるプラットフォームが露出しているか否かで判断可能です。溝深さが50%未満のタイヤは、冬用タイヤとしては使用しないようにしてください。
瞬間パンク修理剤やタイヤつやだし剤等、タイヤに劣化等有害な影響を及ぼすものは使用しないでください。
トラック・バス用タイヤの摩耗とローテーション対策
トラック・バス用タイヤにおける摩耗の特徴と、ローテーションによる対策を解説します。
(1)偏摩耗を防ぐローテーション
タイヤローテーションとは、車両のある位置からタイヤを取り外し、別の位置に装着する位置交換作業のことです。同軸のタイヤであっても、さまざまな要因によって摩擦の度合いが異なってきます。定期的にローテーションを行うことで、タイヤの偏摩耗予防に役立ちます。
なお、トラック用タイヤの中には、回転方向が定められているものがあります。タイヤの性能を最適化するために、新品タイヤの装着時には、その回転方向を守りましょう。 指定される回転方向を守るために、タイヤの位置交換する際にリムの交換も必要になる場合もあります。
トラック用タイヤの計測ポイントを示すイメージ
(2)操舵軸のタイヤの摩耗
【摩耗の特徴】
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通常、左側通行のトラックでは、左前のタイヤは右前のタイヤよりも摩耗が早くなる
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左前のタイヤは、道路の傾斜によって、外側のショルダーの摩耗が顕著になることがある
【解決策】
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前輪タイヤの磨耗を均等にするため、必要であれば、半分まで磨耗したところでタイヤをリムの上で回転させ、左右を入れ替える
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適切な時期にリグルーブを行う(ミシュランタイヤでは、操舵軸に再生タイヤを装着しないことを推奨しています。)
(3)駆動軸のタイヤの摩耗
【摩耗の特徴】
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左右どちらの内側タイヤも、トレッドショルダーの摩耗はシャシー内側の方がより顕著に現われやすい
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主な原因は、キャンバーの角度、サスペンションのタイプ、エンジンブレーキの使用、路面状況、車軸荷重などが考えられる
【解決策】
以下の方法でローテーションとリグルーブ等を組み合わせることで摩耗を均等にし、駆動軸4本のタイヤのポテンシャルを最大限に活かす
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内側タイヤと外側タイヤを複輪間にて交換する
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回転方向を確認しながら、内側のタイヤ2本を同位置上で回す
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タイヤの残溝が3~4mmになったらリグルーブする
(4)トレーラー軸のタイヤ摩耗(3軸のセミトレーラーの場合)
【摩耗の特徴】
コーナリング中や操縦中に横方向に擦られるため、3軸に装着されたそれぞれのタイヤの摩耗率は均一にはなりません。
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第1軸はスクラブの影響を適度に受けるため、第2軸と第3軸の中間の摩耗レベルになる
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第2軸は、ほとんど応力がないため、摩耗の程度は非常に低くなる
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第3軸は、車両のジオメトリーと連動したスクラブの影響を最も受けるため、摩耗はさらに急速になる
【解決策】
以下の方法でローテーションとリグルーブ等を組み合わせることで摩耗を均等にし、タイヤのポテンシャルを最大限に活かしましょう。
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約50%摩耗したら、第1軸と第3軸のリム上でタイヤを回転させる
※ リグルーブ(トレッドパターンの深さが残り3~4mm)
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第2軸には、リグルーブされたタイヤの使用を推奨
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第1軸では、リグルーブされたタイヤは用途に応じて使用可能
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第3軸では、リグルーブされたタイヤの使用は推奨されない
※第3軸のタイヤはリグルーブされ、第2軸に装着されます。
トレーラーやセミトレーラーの場合、ミシュラン再生タイヤはどの位置にも装着できます。
トラック・バス用タイヤの保管
トラック・バス用タイヤは、適切に保管する必要があります。
保管のポイントと注意点を紹介します。
(1)保管のポイント
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保管場所は、直射日光や悪天候を避け、清潔で乾燥した風通しの良い場所を選ぶ
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保管場所には、蛍光灯、水銀灯、電気機械、その他火花や放電を発生させる可能性のある機器など、オゾンを発生させる機器を設置しない
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ゴムの性質を変化させる可能性のある化学物質、溶剤、炭化水素に近づけない
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タイヤを貫通させる可能性のあるもの(金属スパイク、木材など)に近づけない
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ひび割れや永久的な変形を引き起こす可能性があるため、引張、圧縮、その他変形しない状態で保管する
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劣化を避けるため、保管期間は最小限に留める。 保管場所に残っているものが最新の製造品または発送品になるように管理する
【短期保管の場合】
4週間までの短期保管の場合、木製パレットの上にタイヤを水平に積み重ねることが可能です。積み重ねる高さは1.2メートルを超えないようにしてください。 4週間後、タイヤの順番を逆にして積み直します。 ホイール組されている場合、タイヤは空気を入れて直立した状態で保管するか、棚ラックに一段にして保管してください。
【長期保管の場合】
タイヤは、床から少なくとも10cmの隙間がある棚に、一段にして立てて保管してください。 変形を避けるため、月に1度は位置交換してください。
【タイヤチューブの保管】
タイヤチューブは、空気を抜いた状態で小さく積み重ねて保管してください。
チューブがフィルムなどで梱包されている場合、そのままにしてください。梱包は、汚染、酸素、光の影響からある程度保護してくれるためです。
【フラップの保管】
フラップは汚れ、ほこり、グリス、湿気のない棚に平らに置いてください。変形や伸長の原因になるため、 決して吊り下げないでください。
(2)保管の注意点
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保管タイヤは、整備に入る前に、資格を有する担当者がすべて目視で点検してください。
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装着したタイヤを保管する際は、窒素を充填することを強くお勧めします。空気を使用する場合は、タイヤに入れる前にできるだけ乾燥させてください。 バルブキャップがバルブに取り付けられていることを確認してください。
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保管中のスペアタイヤは、車両の通常の空気圧の約半分まで空気を抜いてください。
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減圧状態で保管されていたタイヤが整備に戻される際、正しく再充填されるように手順を守ってください。
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