
様々なトラクタータイヤ
トラクターのタイヤ交換はいつが最適?交換時期と選び方のポイントを解説
トラクターのタイヤ交換は、作業効率や燃費、走行安定性に直結する重要なメンテナンス項目です。
適切なタイミングで交換し、使用目的に合ったタイヤを選ぶことで、トラクターの性能を最大限に引き出し、生産性を大きく向上させることができます。
この記事では、
- タイヤ交換の判断基準
- 用途別の適正な選び方
- 空気圧や摩耗への注意点
など、トラクタータイヤの交換に関する実用的なポイントをわかりやすく解説します。
現場で迷わないためのヒントを、ぜひ最後までご覧ください。
農業用車両のタイヤに関するさまざまなガイドは、以下からご確認いただけます。
トラクターの用途に応じたタイヤ交換のタイミング
トラクターのタイヤ交換は、摩耗対策だけでなく「用途に応じた最適化」のために行われることも少なくありません。
たとえば、地面が柔らかい時期や種まき作業時には、接地面が広い幅広タイヤが適しています。一方で、作物の列の間を移動する作業では、幅の狭いタイヤの方が扱いやすくなります。
このように、作業内容に応じてトラクタータイヤを使い分ける場面は1年に数回発生することもあります。そのたびにタイヤ単体を交換するよりも、あらかじめ2セット目のホイール(タイヤ+リム)を用意しておき、丸ごと交換する方が効率的です。
(1)2セット目のホイールを選ぶ際の注意点
トラクターのタイヤ交換を効率的に行うために、幅の異なる2セットのホイール(タイヤ+リム)を用意する方法があります。その際に重要なのが、新しいホイールの直径比とトラクターの車軸比の互換性を確認することです。
通常、トラクタータイヤの前輪は後輪よりも直径が小さく、両者は異なる速度で回転します。たとえば、車軸比が「1.5」の場合、前輪は後輪の1.5倍の速度で回転することになります。この比率がずれていると、駆動系に負担がかかり、不具合や早期摩耗の原因になる可能性があります。
車軸比は、トラクターのメーカーが公表していることが一般的です。
ホイールの選定時にはディーラーに車軸比を伝え、作業目的(荷重強化、地面保護など)に適したタイヤ幅や空気圧の調整方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。

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(2)使用していないホイールは適切な環境で保管を
トラクタータイヤの交換用に用意したホイールセット(タイヤ+リム)を使用していない期間は、適切な環境で保管することが重要です。
特に注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 直射日光を避ける
- 清潔で乾燥した場所に置く
- 化学薬品やオゾン発生源の近くは避ける
適切な対策を講じることで、ゴムの劣化やひび割れを防ぎ、タイヤの性能を長く維持することができます。
保管状態が悪いと、いざ交換しようとしたときに安全性や走行性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
同じトラクターに異なる種類のタイヤを装着できる?
作業内容や畑の状態に応じて、異なるタイプのタイヤを1台のトラクターに装着することは技術的には可能です。ただし、どんな組み合わせでも安全というわけではありません。
誤ったタイヤの組み合わせは、走行安定性の低下や早期摩耗の原因になるため、以下の注意点をしっかり確認しておきましょう。
(1)前輪と後輪で異なる種類のタイヤを装着するケース
トラクターの前輪と後輪に異なるタイヤを装着することは可能です。実際、用途に応じてタイヤ幅やトレッドパターンを変えることは珍しくありません。
ただし注意すべきは、各タイヤはトラクターの出力や用途に応じて設計されているという点です。組み合わせによっては本来のタイヤ性能を発揮できないだけでなく、駆動系や路面に影響を及ぼす可能性があります。
タイヤ選定の際は、車両メーカーやタイヤメーカーの推奨を確認したうえで、用途に適した組み合わせを検討しましょう。
(2)同じ車軸上に異なるタイヤを装着するのは避けるべき
左右のタイヤを異なる種類で使用することは基本的に推奨されません。
日本を含む多くの国では、法的にも左右のタイヤ仕様を統一することが義務付けられています。乗用車と同様に、公道を走行するトラクターにも同じ基準が適用されることがあります。
法規制がない場合でも、以下の条件を満たすことが理想です。
- 同じサイズのタイヤ
- 同じ荷重指数・速度記号
- 同じタイヤブランド・種類(ラジアル/バイアスなど)
- 同等の摩耗レベル(偏摩耗を防ぐ)
つまり、同じ車軸上のタイヤは基本的に「ペアで交換」することが重要です。片方だけのタイヤ交換は、バランスやタイヤ寿命に悪影響を及ぼします。
関連ページ:トラクタータイヤの適切なメンテナンスを行うには

同じ車軸のトラクタータイヤ
摩耗が進んだトラクタータイヤは早めに交換を
トラクタータイヤの摩耗は、タイヤ交換を検討すべき重要なサインです。
乗用車のような「トレッドウェアインジケーター(摩耗サイン)」がないため、使用者が見た目や使用感からトラクタータイヤの摩耗の進行を見極める必要があります。
過度に摩耗したトラクタータイヤを使い続けると、以下のようなリスクがあります。
- トラクション性能の低下(滑りやすくなる)
- 燃料消費量の増加
- 作業効率の悪化やコストの増大
特に、ぬかるんだ畑や傾斜地などでのスリップが増えたと感じたら、トラクタータイヤの摩耗が進んでいるサインです。
そのまま使用を続けるのではなく、早めにディーラーへ相談し、適切な交換時期や製品選びのアドバイスを受けることをおすすめします。
関連ページ:トラクターのタイヤがパンクしている?
トラクタータイヤの性能を最適化する適正空気圧
トラクタータイヤの性能を最大限に引き出すには、摩耗やサイズだけでなく空気圧の管理も非常に重要です。
ここでは、トラクタータイヤの適正空気圧の確認方法と、チェックすべきタイミングについてわかりやすく解説します。
(1)自分のタイヤの適正空気圧はどうすればわかりますか?
トラクションを最大化し、早期摩耗を防ぎ、タイヤの寿命を延ばすためには、適正なタイヤ空気圧の維持が不可欠です。
そのためには、信頼できる空気圧計で定期的にチェックし、トラクターの荷重や速度に応じて適切に調整する必要があります。
もし適正な空気圧が分からない場合は、ミシュランタイヤのオンラインツール「MICHELIN AGROPRESSURE- ミシュラン アグロプレッシャー」を活用してください。
このツールでは、車軸荷重が不明な場合でも、トラクターや牽引機器の構成に応じて、推奨空気圧をすぐに算出できます。
(2)トラクタータイヤの空気圧はいつチェックすべきですか?
適正な空気圧を保つためには、「どう測るか」だけでなく「いつ測るか」も非常に重要です。
以下では、特に注意しておくべき2つのタイミングをご紹介します。
ホイール交換時にタイヤ空気圧を確認する
幅の狭いホイールや幅の広いホイールに交換したときは、トラクタータイヤの空気圧を確認する絶好のタイミングです。
長期間保管していたホイールセットは、前回使用してから自然に空気が抜けている可能性があります。
空気圧が低すぎると、走行性能が低下し、燃料消費量も増加します。
トラクタータイヤの交換時には、適正空気圧を再設定することで、走行効率とコストの両方を最適化できます。
荷重が変化したらタイヤ空気圧をチェックする
トラクタータイヤのパフォーマンスを最大限に引き出すには、トラクターの荷重と速度に応じた空気圧調整が不可欠です。
例えば、プラウをけん引して公道を走行する場合、重い荷重に対応する高い空気圧が必要です。
一方、畑に到着してプラウを切り離すと、荷重が減り速度も遅くなるため、そのままの空気圧では過剰になってしまいます。
使用状況の変化に応じて空気圧を調整するのが理想ではありますが、都度の調整が難しい場合は、トラクタータイヤにとって最も過酷な条件に合わせた空気圧を設定するのが安全です。
タイヤ交換:どのトラクタータイヤを選ぶべきか?
タイヤ交換の際にどのトラクタータイヤを選ぶかは、農作業の効率やコスト、作業品質に大きく関わる重要な判断ポイントです。
地形や土壌の状態、作業の種類に応じて、必要とされるトラクション性能・安定性・耐久性が変わるため、使用環境に合ったトラクタータイヤを選ぶことが不可欠です。
たとえば以下のようなケースにより、最適なタイヤは異なります。
- 柔らかい土壌での牽引作業
- 公道と農地を行き来する走行
- 荷重の大きい重機器をけん引する作業
どのトラクタータイヤが最適か迷った場合は、以下のタイヤ検索機能をご活用ください。用途に合ったミシュランタイヤを簡単に確認できます。