daily truck tire check

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トラックタイヤの日常点検とは?点検項目や手順、注意点を解説

トラックタイヤの日常点検(運行前点検)は、トラックの安心安全な運行に必要不可欠です。チェックシートを活用して、入念に点検しましょう。
この記事では、トラックタイヤの日常点検の点検項目や流れ、注意点や日常点検を効率化するコツなどを解説します。トラックタイヤに関する事故の事例や、トラックタイヤを安心・安全に使用するポイントも紹介するので、参考にしてください。

トラックタイヤの日常点検とは?

トラックタイヤの日常点検とは、1日の運転を安全に行うために、運行を開始する前に車両やタイヤに異状がないか確認することです。「運行前点検」とも呼ばれます。

ここでは、トラックにおける日常点検の基礎知識を解説します。

(1)日常点検の必要性

トラックユーザーは定期点検だけでなく、日常点検を怠らないことが重要です。

多くの人や物を運搬し、公共性の高いトラックやバスなどの事業用自動車が事故を起こした場合、社会的に大きな影響を及ぼす恐れがあります。自家用乗用車(マイカー)に比べてより確実な点検が求められるため、日常点検の実施が法令(道路運送車両法第47条の2、自動車点検基準第1条)で義務づけられています。

日常点検によって異常が見つかった際、速やかに整備を行うことで、問題を早期に解決することが可能です。事故防止につながることはもちろん、大がかりな修理が必要になる前に対応することで、修理費用の削減を図れます。日常点検によってトラックのダメージを抑えられれば、車両や部品の寿命を伸ばしてコスト削減につなげることも可能です。


参考:道路運送車両法 | e-Gov 法令検索

(2)定期点検との違い

日常点検と定期点検では、点検の頻度や点検内容が異なります。

日常点検は、1日1回、毎日出発前に実施する点検です。常日頃から実施すべき簡単な点検として位置づけられており、短時間で実施することが可能です。基本的にはドライバー自身が目視や手で触って点検します。

一方の定期点検は、3ヶ月ごとや12ヶ月ごとなど、一定期間ごとに実施する点検を指します。日常点検に比べて大がかりで、専門的な知識・技術が求められることが特徴です。

(3)【トラック】日常点検の主な項目

トラックの日常点検における主な項目は、以下のとおりです。

  • タイヤ
  • ブレーキ
  • 原動機
  • ウィンド・ウォッシャー、ワイパー
  • 灯火装置・方向指示器
  • エア・タンク


国土交通省のWebサイトから、日常点検表(チェックシート)の様式をダウンロードできます。また、公益社団法人 全日本トラック協会が発行している「点検整備ハンドブック」でも、日常点検記録簿の例を確認可能です。参考にしてみてください。

トラックタイヤの詳しい点検内容については、後ほど詳しく解説します。


参考:国土交通省 車輪脱落事故 - 自動車の点検整備

参考:主な刊行物 | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association

(4)日常点検を怠った場合の罰則

日常点検を怠った場合、道路運送車両法違反によって営業停止命令を受ける可能性があります。

日常点検を怠れば、事故を起こす危険が増すだけでなく、事業者としての信頼を失いかねません。安全に配慮して円滑なビジネスを展開するためにも、日頃から日常点検を励行する必要があります。

トラックタイヤにおける日常点検の4つの手順&注意点

トラックタイヤにおける日常点検の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 日常点検を始める前に安全確認を行う
  2. 日常点検を行う
  3. 最終確認を行う
  4. 日常点検の結果報告を行う


手順ごとの注意点もあわせて解説するので、参考にしてください。

(1)日常点検を始める前に安全確認を行う

日常点検を始める準備として、まずは安全を確保しましょう。

主な注意点は、以下のとおりです。

  • 点検は平たんな場所で実施する
  • タイヤに輪止めをかけておく
  • パーキング・ブレーキを確実に効かせ、ギヤをニュートラルにしておく
  • エンジンを止め、スターターキーは必ず抜き取っておく
  • 必ずエンジン・タイヤなどが冷えた状態で点検する(走行直後の点検はやけどの恐れがある)


準備を整えておくことで、安全かつスムーズに点検を実施できます。

(2)日常点検を行う

準備が整ったら、日常点検を始めます。

吸気ダクトには、工具など物を落とさないように注意しましょう。

点検表(チェックリスト)に沿って点検することで、抜け・漏れを防止できます。具体的な点検項目は、後述します。

(3)最終確認を行う

日常点検が終わったら、全体を見渡して異状がないか最終確認を行います。
点検時に使用した工具やウエス(布)などの置き忘れがないかどうかも、しっかりチェックしましょう。

(4)日常点検の結果報告を行う

最終確認を終えた後は、整備管理者に日常点検の結果を報告します。

日常点検で発見した問題は、速やかに報告・連絡・相談を行うことが大切です。また日常点検の際に気がついた違和感は、些細なことであっても整備工場などに相談するようにしましょう。


参考:公益社団法人 全日本トラック協会「トラックドライバーが日常行うべき事項」

関連ページ:タイヤの運用アドバイス|トラック・バス用タイヤ向け | 日本ミシュランタイヤ

トラックタイヤの日常点検項目

ここでは、トラックタイヤに関する日常点検項目について解説します。

  • 前日までの異状箇所
  • 空気圧
  • 亀裂・損傷・異物
  • 異状摩耗
  • 溝の深さ
  • ディスク・ホイールの取付


なお日常点検は、必ずトラックタイヤが冷えている状態で実施してください。必要に応じて、スペア・タイヤについても点検しましょう。

(1)前日までの異状箇所

前回の運行で異状が認められた箇所がある場合、以下の点について点検します。

  • 修理・調整が完了しているか
  • 異状はなくなっているか


「修理・調整が未対応」「引き続き異状が発生している」などの場合、事故につながる恐れがあるため、速やかに整備管理者に報告して対処を依頼しましょう。

(2)空気圧

目視でトラックタイヤのたわみ具合を確認するとともに、タイヤ・ゲージを使って空気圧チェックします。

タイヤ空気圧の過不足がある際は、標準空気圧に調整しましょう。

トラックタイヤの空気圧は、不足・過多どちらであっても、以下のようなリスクをともなうため、注意が必要です。

【空気圧不足の場合】

空気圧が足りないトラックタイヤのイメージ

空気圧が足りないトラックタイヤのイメージ

  • タイヤの耐久性:
    タイヤが路面に当たりやすくなり、偏摩耗につながる
    ケーシングの耐久性の低下や、疲労の蓄積を招く恐れがある
  • 車の操安性:
    ハンドル操作がしづらくなる
  • 快適性:
    路面の衝撃を吸収しづらくなる
  •  外傷の受けやすさ:
    過度な発熱や衝撃による、はく離(セパレーション)・コード切れ・タイヤの損傷・バーストが起こりやすくなる

【空気圧過多の場合】

空気圧過多のトラックタイヤのイメージ

空気圧過多のトラックタイヤのイメージ

  • タイヤの耐久性:
    中央部のみが路面に当たりやすくなるため、センター摩耗につながる
  •  車の操安性:
    発進時や制動時にタイヤがスリップしやすい
  •  快適性:
    路面の段差を感じやすくなり、乗り心地が悪化する
  •  外傷の受けやすさ:
    接地面(トレッド面)が傷つきやすくなるほか、ショックバーストやコード切れを起こしやすくなる

トラックタイヤの空気圧については、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。


関連ページ:トラックタイヤ・バスタイヤの適正空気圧は?注意点や点検方法 | 日本ミシュランタイヤ

(3)亀裂・損傷・異物

トラックタイヤの接地面・側面を含め、全周にわたって以下をチェックします。

  • タイヤの接地面や側面に亀裂や損傷がないか
  • タイヤに金属片や石などの異物が刺さる・かみ込むなどの異状はないか


亀裂や損傷がタイヤ内部のコードに達している場合、パンクやバーストなど重大な事故につながる恐れがあるため、注意が必要です。

(4)異状摩耗

トラックタイヤの接地面に異状な摩耗がないかチェックします。

偏摩耗を放置して走行を続けると、振動や騒音が生じやすくなり、タイヤ寿命が縮まるだけでなく、タイヤのバーストにつながる危険もあります。

必要に応じてタイヤローテーションを行い、摩耗の偏りを防ぎましょう。

(5)溝の深さ

トラックタイヤの残り溝の深さをチェックします。

一般道路のみを走行するトラックのタイヤは、1.6mm以上の残り溝が必要です。高速道路を走行する場合、小型トラック用タイヤは2.4mm、それ以外のトラック用タイヤは3.2mm以上の残り溝が必要です。

トラックタイヤの残り溝が1.6mmになるとスリップサイン(摩耗限度表示)と呼ばれるマークが出現するため、タイヤ交換の目安になります。

トラック・バス用のミシュランタイヤには、スリップサインが現れる箇所にミシュランマンのロゴが付いています。タイヤ交換時期の目安にしてください。

ミシュラントラック・バス用タイヤのスリップサイン出現箇所のクローズアップ

ミシュラントラック・バス用タイヤのスリップサイン出現箇所のクローズアップ

トラックタイヤの摩耗が進んだ状態で放置した場合、以下のリスクがあります。

  • パンク:タイヤの空気が抜ける
  • バースト:タイヤがいきなり破裂する
  • ハイドロプレーニング現象:タイヤが水の上をスリップし、ハンドルやブレーキが制御できなくなる


トラックタイヤの残り溝が浅くなったら、速やかにタイヤ交換を行いましょう。

なお、ミシュラントラック用タイヤであれば、リグルーブによって溝を再生させることで、タイヤ寿命を延ばすことが可能です。詳しくは、以下の記事をご確認ください。


関連ページ:リグルーブタイヤとは?スリップサインの出現前にタイヤ溝の再生で寿命を延ばそう

(6)ディスク・ホイールの取付

車両総重量8トン以上のトラックは、ディスク・ホイールの取付状態の点検も必要です。

ホイール・ボルトの折損、ホイール・ナットの緩みがないかをチェックし、点検ハンマでホイール・ナットを叩いて、指に伝わる振動や音の違いに注意しながらチェックしましょう。

トラックタイヤの日常点検を効率化するコツ

ここでは、トラックタイヤの日常点検を効率化するためのコツを紹介します。業務の効率化にお役立てください。

(1)点検工具や記録簿を定位置に置く

日常点検に必要なアイテムは、必ず定位置に置くようにしましょう。保管場所が定まっていない場合、必要アイテムを探す不要な手間や時間が発生してしまいます。

効率的な点検作業を行うため、日常点検に必要なチェックリスト・記録簿・点検工具などは定位置に保管することを徹底しましょう。

(2)デジタルツールを活用する

紙媒体による記録・報告業務をデジタル運用に切り替えることも、効率化の1つの手段です。

デジタルデータで管理すれば、過去の情報を簡単に検索・参照できるようになるため、業務の効率化につながります。具体的には、以下のようなサービスの活用がおすすめです。

  • 点検記録アプリ
  • スプレッドシートソフト(Google SheetsやMicrosoft Excelなど)
  • 企業向けの車両管理ソフトウェア


導入コストや管理方法、セキュリティ面などはツールによって異なるため、事業実態にあわせて検討するとよいでしょう。

【トラブル事例】トラックタイヤに関する事故

トラックタイヤの点検不足は、タイヤトラブルによる事故を招く恐れがあります。

ここでは、トラックタイヤのトラブルによって起こった実際の事故事例を紹介します。

(1)事例1:タイヤの異常摩耗による車両単独事故

時速約60km/h で走行していたバン型中型トラックが水の溜まった道路にそのまま進入したところ、運転操作不能に陥った。縁石に乗り上げて横転し、沿道の鉄柵に衝突して停止した。

この事故は、後輪左右のタイヤ溝の深さが十分ではなく、タイヤが水を排出する能力が低下し、ハイドロプレーニング現象を起こしたことが原因と考えられています。

ハイドロプレーニング現象は、タイヤ摩耗や空気圧不足によって起こりやすい現象です。このような事故を防ぐためにも、日常点検の励行は不可欠です。


参考:公益社団法人 全日本トラック協会「トラックドライバーが日常行うべき事項」

(2)事例2:ホイール・ボルト折損による車輪脱落事故

令和5年12月、大型車から脱落した車輪が衝突して道路保全作業員が死亡する事故が発生した。

この事故の原因は、「タイヤ交換時の作業不備」と「タイヤ交換後の保守管理の不備」という2つの要因が関係していると考えられています。

国土交通省によると、令和5年度は、ホイール・ボルトの折損等による大型車の車輪脱落事故が142件発生しました。事故の発生件数は11月~3月に集中しており、冬用タイヤ交換後1ヶ月以内に多く発生する傾向が見られます。

タイヤ交換後の日常点検は、特に注意して実施する必要があるでしょう。


参考:車輪脱落事故 - 自動車の点検整備

日常点検とあわせてトラックタイヤを安心・安全に使用するポイント

ここでは、日常点検とあわせてトラックタイヤを安心・安全に使用するためのポイントを2つ紹介します。

(1)タイヤトラブルのレスキューサービスを利用する

トラックタイヤトラブルのレスキューサービスの利用を検討しましょう。

日常点検を実施していても、日常的に長距離を運行するトラックやバスなどは特に、タイヤのパンクやバーストなど不測のトラブルに見舞われる可能性があります。タイヤトラブル専門のレスキューサービスを活用すれば、より安心・安全な運行を実現できます。

ミシュランタイヤでは、トラック・バス用タイヤトラブル専門のレスキューサービス「MRN/MRN GO」を提供しています。「MRN/MRN GO」は、タイヤトラブル対応に特化した、24時間365日対応の出張タイヤサービスです。

詳しくは、以下のページをご確認ください。


関連ページ:ミシュラントラック・バス用タイヤトラブルのレスキューサービス MRN/MRN GO

(2)適切なトラックタイヤを選ぶ

トラックの運行目的にあわせた適切なトラックタイヤを選ぶことが大切です。

長く使用できる丈夫なトラックタイヤを履くことで、タイヤ交換やタイヤローテーションの頻度を軽減できれば、コストも作業者の負担も抑えられます。安全面をふまえ、導入時のイニシャルコスト(初期費用)だけでなく、トータルコストを考慮してトラックタイヤを選ぶことがポイントです。

ミシュランタイヤは、幅広い用途・ニーズに応えるトラックタイヤを取り揃えています。事業にぴったりのトラックタイヤをお探しの方は、ぜひミシュラントラックタイヤのラインアップをチェックしてみてください。


関連ページ:ミシュラントラック・大型トラック用タイヤ | 日本ミシュランタイヤ


最新カタログは、以下ページの「ミシュラン トラック・バス・小型建設機械用タイヤカタログ【最新版】」よりご確認いただけます。


関連ページ:法人のお客様向けミシュランタイヤの参考資料

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