
路面と畑の両方に適したハイブリッドタイヤを使用した農業車
畑と路上の両方に対応するハイブリッドトラクタータイヤ
トラクターを畑と路上の両方で使用している場合、それぞれの環境で求められるタイヤ性能は異なります。
そのため、「畑または路面どちらか一方に特化した標準トラクタータイヤを選び、もう一方の性能については妥協すべき?」と悩むケースは多いでしょう。
本記事では、そのようなお悩みを解決に導く、畑と路面の両方に対応できるミシュランハイブリッドトラクタータイヤを紹介します。
農業用車両のタイヤに関するさまざまなガイドは、以下からご確認いただけます。
トラクタータイヤが抱えていた課題
2000年代の初頭までは、畑と路上の両方を走行するトラクターであっても、従来の標準タイヤを装着していることが一般的でした。
道路を走行して鋤をトラクターに積んで畑に運搬する際は、タイヤの空気圧を高くする必要があります。しかし、路上の走行に適したタイヤ空気圧のまま畑作業を行えば、畑でのトラクション性能が低下し、土壌へのダメージが大きくなります。
反対に、農作業に適した低圧のタイヤに重い荷物を載せて道路を走った場合、トラクタータイヤの摩耗が早まり燃料消費量も増加する、という課題がありました。

路面も畑も走行可能なタイヤ
Tracteur montés en pneus MICHELIN EVOBIB quitte le champ
ミシュランハイブリッドトラクタータイヤの誕生
進化する農業のニーズや農家が抱えるトラクタータイヤの悩みを解決するため、ミシュランタイヤは、畑と路上の両方で最適な性能を発揮するトラクタータイヤの開発に取り組みました。その結果、誕生したのがミシュランウルトラフレックステクノロジーです。
この革新的な技術を搭載したタイヤは、同じ荷重条件下で標準的なトラクタータイヤよりも約40%低い空気圧で運用できます。また、同じ空気圧であれば約40%多くの荷重に耐えることが可能です。*
ミシュランウルトラフレックステクノロジーを採用したトラクタータイヤは、低空気圧での畑作業においてタイヤの接地面積が広がり、トラクションが向上するとともに、土壌の圧縮を大幅に軽減します。結果として、作物の収量向上が期待できます。
また、空気圧を変更することなく、標準タイヤよりも重い荷物を載せて路上を走行することも可能です。
ハイブリッド用途向けの2種類のトラクタータイヤ
ミシュランのハイブリッドトラクタータイヤは多目的にご使用いただけますが、それぞれの使用環境に適した製品をお選びいただくことで、性能を最大限に引き出すことが可能です。
ここでは、2種類の製品とそれぞれに適した使用条件をご紹介します。
(1)路上走行を重視して設計されたハイブリッドトラクタータイヤ
農業従事者によっては、播種・収穫などの作業の合間に長時間の路上移動が必要です。
しかし、従来の農耕用トラクタータイヤには「路上走行中に騒音・振動が大きい」「乗り心地が悪い」「摩耗が早い」といった課題がありました。
そこで路上用タイヤに豊富な実績を持つミシュランタイヤが開発したのが、路面用トラクタータイヤ「MICHELIN ROADBIB」です。
主に舗装路での走行に最適化された設計が特徴であるものの、畑でも使用可能です。
MICHELIN ROADBIBがおすすめのケース

MICHELIN Roadbib are tractor tyres for the road
以下のようなケースでは、MICHELIN ROADBIBタイヤの使用がおすすめです。
- トラクターの稼働時間の80%以上が路上走行で、20%は負荷が少ない畑作業
- トレーラーを牽引しての長距離移動が日常的にある
- 燃費性能や快適性、タイヤ寿命を重視している
MICHELIN ROADBIBタイヤは路上での転がり抵抗が小さく、燃料効率や乗り心地に優れています。
ただし、泥濘地や高トラクションが求められる畑では、最大限の牽引力を期待できない点に注意が必要です。
(2)畑での走行性を重視して設計されたトラクタータイヤ
主に畑での作業に従事する方のために設計されたのが「MICHELIN AXIOBIB2」タイヤです。
160〜550馬力クラスの高出力トラクターに対応しており、ハードな耕起作業や牽引作業に適しています。
また、ミシュランウルトラフレックステクノロジーにより、路上走行も可能です。
MICHELIN AXIOBIB2タイヤがおすすめのケース

MICHELIN AXIOBIB2 are tractor tyres for the field
以下のようなケースでは、MICHELIN AXIOBIB2の使用がおすすめです。
- トラクターの稼働時間の大半を畑で過ごす
- 作業負荷の高い畑における高いトラクション性能と作業効率を求めている
- 土壌の圧縮を抑えつつ、収量量アップも目指したい
ミシュランウルトラフレックステクノロジーにより、低空気圧での畑作業が可能です。接地面積の拡大により、トラクションを向上させながら土壌保全にも貢献するため、生産性アップを期待できます。
低馬力トラクター向けのハイブリッドトラクタータイヤ
農業や産業用途での荷役作業、または冬季の作業に低馬力のトラクターを使用している場合、多目的に対応できる適切なタイヤ選びが重要です。
MICHELIN CROSSGRIPは、道路・草地・雪上など多様な路面に対応するハイブリッドタイヤです。小型トラクター・バックホーローダー・ローダー・テレスコピックハンドラーに装着することで、生産性と牽引力の向上を期待できます。
また、用途に応じて最適なカラーを選択できます。
- ブラック:道路走行が多い場合におすすめ
- グリーン:草地でのグリップ性能を重視する場合におすすめ
- ホワイト:雪上でのグリップ性能を重視する場合におすすめ
ニーズに合ったハイブリッドトラクタータイヤを選びましょう
* 標準タイヤとVF(Very high Flexion)タイヤとの規範的な差異。VFタイヤは、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation)およびTRA(Tyre And Rim Associassion、USA)によって認定された標準マーキングです。