
コンバイン・ハーベスターに適した農業用タイヤの選び方
コンバインハーベスターに適した農業用タイヤを選ぶ5つのポイント
収穫作業は時間との勝負です。天候に関係なく、適切なタイミングで収穫を行う必要があります。そのため、コンバインハーベスターには、あらゆる条件下でも高い性能を発揮する農業用タイヤが求められます。
この記事では、最適な農業用タイヤを選ぶための基準と、ミシュランタイヤが提供するおすすめのコンバインハーベスタータイヤをご紹介します。
農業用車両のタイヤに関するさまざまなガイドは、以下からご確認いただけます。
コンバインハーベスタータイヤに求められる収穫条件
穀物の収穫には適切なタイミングがあり、限られた期間内に行わなければなりません。雨天時は地面が柔らかくなり作業が困難になることがあるため、湿った地面でも効果的に作業できるコンバインハーベスタータイヤを装着する必要があります。
適切なタイヤを選ぶことで、収穫期間中の悪天候時にも高い性能を発揮するだけでなく、土壌を保護しながら収量効率も高められるでしょう。
コンバインハーベスターに装着する農業用タイヤを選ぶ5つのポイント
コンバインハーベスターに装着する農業用タイヤを選ぶ際に注目すべきポイントは、以下の5つです。
- タイヤサイズ
- トラクション性能
- 低圧走行性能
- 積載能力
- 耐久性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)タイヤサイズ
1つめのポイントは、タイヤサイズです。
コンバインハーベスターに装着可能な、メーカー規定のタイヤサイズを確認しましょう。道路を走行する場合、車幅(全幅)が法的制限内に収まるか確認することも重要です。(1)
一般的に、タイヤの直径が大きいほど、接地面積が広くなり、土壌保護や機動性が向上します。ただし、前後のタイヤ径の比率も考慮する必要があります。
Terranimo®シミュレーションによる土壌ストレスマップの比較例は、以下のとおりです。
- 左のタイヤ:VF900/60R32 CEREXBIB2(直径1.9m)、15,000kg、2.6bar(260 kPa)
- 右のタイヤ:VF900/60R42 CEREXBIB2(直径2.12m)、15,000kg、2.1bar(210 kPa)
空気圧は、15,000kgの機械重量および10km/hの断続走行時に推奨される数値です。タイヤの直径が小さいほど、地面への圧力(ストレス)が大きくなります。
土壌ストレスマップの比較
2.6bar(260 kPa) vs 2.1bar(210 kPa)

土壌ストレスマップの比較
幅の広いタイヤは現場での生産性を向上させる一方、道路走行時に機械全体の幅が法的制限を超えるリスクが高まります。タイヤ幅を選ぶ際は、道路走行時の条件も考慮する必要があります。
(2)トラクション性能
2つめのポイントは、トラクション性能です。
たとえ地面が雨でぬかるんだ状態であっても、収穫作業のタイミングを逃すわけにはいきません。そのため、コンバインハーベスターには泥濘地でも高いトラクション性能を発揮する農業用タイヤの装着が求められます。
また、土壌へのダメージを最小限に抑えつつ、コンバインハーベスターの安定性や良好な機動性を確保できる農業用タイヤを選ぶことも大切です。

トラクションの良さは、ハーベスタ・コンバイン・タイヤを選ぶ際の重要な基準
(3)低圧走行性能
3つめのポイントは、低圧走行性能です。
コンバインハーベスターのように重量のある機械を使用する場合、土壌の圧密を招く可能性があります。土壌へのダメージを抑えるためには、低空気圧での走行が可能なタイヤを選ぶことが重要です。
前輪だけでなく、コンバインハーベスターを旋回させ積荷を運ぶ役割を担う後輪にも、高品質なタイヤを装着しましょう。
後車軸に安価な農業用タイヤを選べば、コストを削減を見込めます。しかし、高圧走行によって土壌が圧縮され、前車軸タイヤによる土壌保持効果が打ち消されてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

コンバイン・ハーベスターの前後に高品質の農業用タイヤを装着することで、生産性を最大化できます。
Young farmers in soybean fields before harvest
(4)荷重性能
4つめのポイントは、荷重性能です。
収穫作業の効率を高めるためには、大容量のタンクを備えたコンバインハーベスターが有利です。しかし、タンク容量が大きいほど、タイヤにかかる荷重も増加します。
そのため、低空気圧でも高い荷重を支えられる農業用タイヤを選ぶことが、生産性の最大化につながります。
(5)耐久性
5つめのポイントは、耐久性です。
刈り株やわらくず、金属部品などによってタイヤが損傷する可能性のある場所を走行する場合、耐久性は必要不可欠です。
また「コンバインハーベスターを使用するのは収穫作業時のみで、その他の期間は保管しておく」というケースは珍しくありません。その場合、長期保管によるタイヤの劣化に備えた耐久性が求められます。
収穫作業の妨げにならないよう、タイヤ寿命を通して損傷に耐えられる頑丈な農業用タイヤを選ぶことをおすすめします。
関連ページ:トラクター用タイヤを選ぶための6つの基準
【コンバインハーベスター用】おすすめのミシュラン農業用タイヤ
ミシュランタイヤは、コンバインハーベスターに装着する農業用タイヤを選ぶポイントを満たし、ユーザーの収穫ニーズに応える2つのシリーズのタイヤを開発しました。
上記の基準を満たす効率的なタイヤを開発しています。お客様の収穫ニーズに応えるため、以下の2つのタイヤシリーズを提供しています。
(1)MICHELIN MEGAXBIB & MEGAXBIB2タイヤ
(2)MICHELIN CEREXBIB2タイヤ
農業用タイヤにより高い性能を求める場合、プレミアムモデルであるCEREXBIB2がおすすめです。
MICHELIN CEREXBIB2タイヤの主な特長は、以下のとおりです。

MICHELIN CEREXBIB2: ハーベスターのプレミアム・オファー
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土壌保護性能の向上:
VF(Very High Flexion)規格を満たすミシュランウルトラフレックステクノロジーにより、同じ荷重で空気圧を40%低減、または40%多くの荷重を運ぶことが可能です。(2)
ミシュランウルトラフレックステクノロジー搭載タイヤの使用により、年間2~6%の農業収量の向上が確認された研究結果もあります。(3)
圧力を下げることでタイヤのフットプリントが増加するため、トラクションを最適化するだけでなく、土壌の保護につながります。
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追加積載能力:
CFO(Cyclic Field Operation)規格に適合しているため、コンバインなど作業中に負荷が変動する機械が穀物などを満載したときの一時的な重量増加にも対応できます。
たとえば、空気圧2.8bar(280kPa)、周期速度10km/hで走行する場合、MICHELIN CEREXBIB 2(VF 710/70 R42)は、40km/h走行時よりも4トン以上多く積載可能です。
またCFO+認定を受けており、コンバインの平均作業速度である10km/hでは、通常より重い荷物にも対応できます。(4)
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CTIS(セントラルタイヤインフレーションシステム)互換:
CTISに対応しているため、畑・道路走行など用途に合わせてタイヤの空気圧を簡単に調整できます。適切な空気圧がわからない場合、農業用車両の空気圧計算ツール「MICHELIN AGROPRESSURE- ミシュラン アグロプレッシャー」をご活用ください。
【コンバインハーベスター用】ミシュラン農業用タイヤの詳細はこちら
(1) 最大許容幅は国によって異なる場合があります。
(2) 標準タイヤとVF(超高屈曲)タイヤの規範的な差。
(3) 2013年から2017年にかけて英国のハーパーアダムス大学が実施した研究では、MICHELIN ULTRAFLEX技術により、農業収量が2~6%増加することが実証されています。これらの結果は、2015年に米国(イリノイ州)、2018年から2021年にブラジル(マトグロッソ州)で実施された同様の研究でも確認されています。
(4) MICHELIN CEREXBIB 2は、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organization)によってCFO+認定を受けています(標準市場規格)。