農地でのトラクタートラクションの必要性

農地でのトラクタータイヤ

トラクタータイヤのトラクション性能を高める4つの方法


農地での作業効率や生産性を最大化するには、トラクターのトラクション性能が非常に重要です。
しかし、スリップ率が高すぎると、燃費の悪化や作業の遅れといった問題が発生します。

本記事では、スリップの原因や限界値、改善するための対策方法、さらに用途に応じたトラクタータイヤの選び方について、実用的な視点から詳しく解説します。

農業用車両のタイヤに関するさまざまなガイドは、以下からご確認いただけます。

トラクタータイヤのトラクション性能とは?

トラクタータイヤのトラクション性能とは、トラクターがエンジンの動力を地面に効率よく伝え、農機具をしっかり牽引する力のことを指します。
特に、高負荷の作業や重い農機具を牽引する場面では、後輪にかかる荷重が大きくなるため、より高いトラクション性能が求められます。

柔らかく湿った地面などの不安定な圃場条件では、トラクションが不足するとスリップ率が上昇し、走行効率や作業効率が大きく低下してしまいます。

地面の状態や作業内容に合った「トラクタータイヤ」を選ぶことが、トラクション性能を最大化するための基本です。

関連ページ:農業トラクター用トレーラータイヤの選び方は?おすすめタイヤも紹介

トラクターのスリップとは?適切なトラクション管理の重要性

トラクターが農地で作業する際に、ある程度のスリップ(空転)が発生するのは正常な現象です。
スリップ率がゼロの場合、トラクターの能力が十分に活用されておらず、生産性に改善の余地があるかもしれません。

しかし、スリップ率が一定値を超えるのは、トラクション性能が不足しているサインでもあります。
トラクション性能の不足状態が続くと、燃料効率の低下や作業時間の増加につながり、生産性にも影響を及ぼします。

農作業用トラクター

農作業用トラクター

(1)トラクタータイヤのスリップ率の許容範囲

一般的に、トラクタータイヤにおけるスリップ率の許容範囲は8〜15%程度です。

15%を超えたあたりから、スリップ率を下げる対策が必要になります。
20%を超えるスリップ率は生産性の著しい低下を招く警告レベルであり、トラクターのバラストやタイヤ空気圧の見直し、トラクタータイヤの選定変更など、迅速な対応が求められます。

(2)トラクタータイヤのスリップが多すぎる原因

トラクタータイヤのスリップが増える原因の多くは、「牽引している農機具が重すぎる」「抵抗が強すぎる」ことにあります。
たとえば以下のような農機具は、高いトラクションを必要とする一例です。

  • 重いプラウや幅広のカルチベーター

  • 深く耕すスタブルカルチベーター(ツメ付き)

  • 土壌への抵抗が大きいディスク耕具の代替器具
     

これらの機具を使用する場合、トラクタータイヤのトラクション性能が不足していないかを確認することが非常に重要です。
必要に応じてトラクタータイヤの空気圧調整やサイズ変更、ツインタイヤ化(ツインニング)などの対策を講じることで、スリップを減らし作業効率を向上させることができます。


関連ページ:農業用タイヤの過積載のリスクと回避方法

トラクタータイヤのトラクションを最適化する4つの方法


ここでは、トラクタータイヤのトラクション性能を最大限に引き出す4つの方法を紹介します。

(1)トラクターにバラストを入れる

1つめは、トラクターにバラストを入れる方法です。

スリップ率が高い場合、牽引する農機具に対してトラクターが軽すぎるために十分なトラクションが得られていない可能性があります。

このような場合、ホイールやタイヤに重り(バラスト)を加えて荷重を補うことで、接地圧を高め、スリップを抑制することが可能です。農機具の変更が難しい場合でも、バラストによってトラクターのトラクションを調整できる可能性があります。

関連記事:トラクタータイヤのバラスト調整で機動性をサポート

(2)トラクタータイヤの空気圧を調整する

2つめは、トラクタータイヤの空気圧を調整する方法です。

タイヤ空気圧は、トラクションを最適化するために欠かせない重要な要素です。一般的に、タイヤ空気圧が低いほど、タイヤの接地面積が大きくなります。接地面積が大きいほど、ラグの地面でのグリップ力が高まり、スリップ率が低下する傾向があります。

同じ速度で使用する同じサイズのトラクタータイヤでも、製品によって空気圧の適正値は異なります。

【後輪荷重:7,9000kg(片側3,950kg)、65km/h走行の例】

  • MICHELIN MULTIBIB(650/65R42 158D TL) の適正空気圧:140kPa(1.4kgf/cm²)

  • MICHELIN AXIOBIB 2(VF 650/65R42 174D/171E TL) の適正空気圧:90kPa(0.9kgf/cm²)
     

MICHELIN AXIOBIB 2」をはじめとするウルトラフレックステクノロジーを搭載したミシュランタイヤは、同じタイヤサイズで圧力を最大40%低減可能です。接地面積を大きくでき、より良好なトラクション性能を期待できます。*

アメリカ・ブラジル・イギリスでの研究*では、農業サイクル全体でウルトラフレックステクノロジー搭載タイヤを使用することで年間2〜6%の収量向上した、という結果が確認されています。

トラクタータイヤの低圧化には、以下のように土壌に関するメリットもあります。

  • 土壌の圧密(締まり)を軽減

  • ミミズなど土壌生物の活動を妨げにくい

  • 土壌の通気性・水はけ向上による、作物の生育環境の改善


タイヤ空気圧は、トラクターの荷重と走行速度に応じて適切に調整することが重要です。適正値が不明な場合は、ミシュランタイヤのオンラインツール「MICHELIN AGROPRESSURE- ミシュラン アグロプレッシャーを活用してください。


関連ページ:トラクタータイヤの適正空気圧とは?確認方法・時期も解説

(3)ダブルタイヤの装着を検討する

3つめは、ダブルタイヤの装着です。

ダブルタイヤとは、同じ車軸に2本のタイヤを並列に装着する方法で、トラクターの接地面積を拡大する手段です。

ダブルタイヤにすることで、以下の効果が期待できます。

  • トラクターのパワーをより多く活用できる

  • 荷重を分散できるため、土壌へのダメージを低減できる
     

ダブルタイヤの装着を行うためには、装着するトラクタータイヤが同一ブランド・サイズ・摩耗レベル・空気圧であることが重要です。
条件が揃えば、トラクション向上だけでなく土壌保全と生産性向上の両立が可能です。

(4)作業に適したトラクタータイヤを選ぶ

タイヤのトラクション性能を最大化するには、作業内容や地形に応じた適切なトラクタータイヤの選定が欠かせません。
特におすすめなのは、ウルトラフレックステクノロジーを搭載したミシュラントラクタータイヤシリーズです。

  • VF(Very High Flexion)やIF(Improved Flexion)規格に準拠

  • 通常のタイヤに比べて空気圧を40%*(IF規格の場合は20%***)低減可能

  • 圧力調整の柔軟性が高く、農作業全体で優れた対応力を発揮
     

ウルトラフレックステクノロジー搭載タイヤは、以下のような幅広い車両に適用可能です。

  • 高馬力・中馬力トラクター

  • コンバイン(収穫機)

  • 自走式・牽引式スプレーヤー

  • 農業用トレーラー

本ページの説明について

* VF(Very High Flexion)タイヤではないタイヤとの規範的差異。
英国のHarper Adams Universityが2013年から2017年にかけて実施した研究では、MICHELIN ULTRAFLEXテクノロジーが農業収量を2~6%向上させることが実証されています。これらの結果は、2015年にアメリカ(イリノイ州)、2018年から2021年にブラジル(マットグロッソ州)で実施された同様の研究でも確認されています。

*** 標準タイヤとVF(Very high Flexion)タイヤとの規範的差異

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