
ダブルタイヤ
ダブルタイヤとは?
トラック後輪が2軸の理由・構造・メリット・デメリット
主に後輪2軸に採用されるダブルタイヤは、トラックやバスなどの荷重を支えるために広く活用されています。この記事では、ダブルタイヤの構造やメリット・デメリット、将来性について解説します。
また、ダブルタイヤに代わる存在として注目を集めている「スーパーシングルタイヤ」についても紹介します。
ダブルタイヤの構造
ダブルタイヤ(Wタイヤ)とは、1つの車軸の左右に同サイズのタイヤを2本ずつ並べて使用することを指します。ツインタイヤやデュアルタイヤ、複輪タイヤとも呼ばれており、主に総重量の重い中型~大型のトラックやバスの後輪2軸に採用されています。
なお、1つの車輪に1本のタイヤとホイールを使用する場合はシングルタイヤと呼ばれます。
イラストのような後輪2軸のダブルタイヤの場合、物理的なタイヤの数は「2×4×4」です。ただし、ダブルタイヤではダブルタイヤ1組をタイヤ1本とカウントするため、「6×2(後1軸駆動)」「6×4(後2軸駆動)」「6×6(六輪駆動)」などと表記されます。
ダブルタイヤの車軸構造

トラック・バスにおけるダブルタイヤの車軸構造図
ダブルタイヤのメリット
ダブルタイヤには、以下のようなメリットがあります。
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重量を分散できる
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荷台を低床化できる
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タイヤのパンクリスクに備えやすい
各メリットについて、詳しく見ていきましょう。
(1)重量を分散できる
重い荷物を積んだとき、ダブルタイヤであれば重量を2つの左右のタイヤに分散することが可能です。中型~大型のトラックやバスは積載量が特に多いため、タイヤには大きな負荷がかかります。
ダブルタイヤにして車両1台に使用するタイヤの本数を増やすことで、タイヤ1本あたりにかかる重量の負担を軽減できるため、耐荷重の性能を確保しやすくなります。また、タイヤが摩耗するスピードを遅らせることも可能です。
(2)荷台を低床化できる
シングルタイヤに比べてダブルタイヤは外径が小さいため、荷台の低床化につながるメリットもあります。
ダブルタイヤによって荷台を低床化できれば、ドライバーによる荷物の積み下ろし作業の負担軽減を期待できます。
荷台が低床化することで、積載量の増加につながるケースもあるでしょう。ただし、タイヤの本数が増える分、総重量が増すため、ダブルタイヤを採用したからといって必ずしも積載量が増えるとは限りません。
(3)タイヤのパンクリスクに備えやすい
タイヤのパンクリスクに備えやすいことも、ダブルタイヤのメリットです。ダブルタイヤはシングルタイヤに比べてタイヤの本数が多く、タイヤ1本あたりの重量負担を抑えられるため、パンクが起こりにくいためです。
また、タイヤの1つがパンクしたとしても、ある程度の距離であれば、問題のない残りのタイヤを活用して走行することが可能です。「パンクしたから急停車し、早急にスペアタイヤに交換しなければならない」といった事態を避けやすいでしょう。
ただし、このメリットは「タイヤのパンクに気がつきにくい」というデメリットにもつながります。日常点検で、トラック・バス用タイヤの状態を入念にチェックしておくことが重要です。
なお、ミシュランタイヤでは、トラック・バス用タイヤのトラブルに備えたレスキューサービス「MRN/MRN GO」を提供しております。安心・安全なビジネス展開のために、ぜひ導入をご検討ください。
ダブルタイヤのデメリット
ダブルタイヤには、以下のようなデメリットもあります。
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タイヤ交換・ローテーションの手間とコストがかかる
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車両の総重量が増える
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乗り心地が悪くなりやすい
それぞれ詳しく解説します。
(1)タイヤ交換・ローテーションの手間とコストがかかる
ダブルタイヤの1つめのデメリットは、手間とコストがかかりやすい点です。トラックやバス1台あたりのタイヤ本数が多い分、タイヤ交換やタイヤ摩耗を均一化するためのタイヤローテーションの管理・作業の手間が増えるためです。
タイヤを保管するためのスペースの確保も求められるため、効率的な管理・運用が難しい側面もあります。
外径が小さいダブルタイヤは、シングルタイヤよりもタイヤ1本あたりの価格を安く抑えることが可能です。一方、一度に使用するタイヤ本数が多いため、トータルコストではシングルタイヤに比べて高くなる可能性があります。
(2)車両の総重量が増える
ダブルタイヤの導入によって、車両の総重量が増えるケースもあります。
ダブルタイヤはシングルタイヤと比べて外径が小さいため、タイヤ1本あたりの重量は軽い傾向があります。一方、1台のトラック・バスに用いられるタイヤの本数が増えるため、車両の総重量は重くなりがちです。そのため、積載量が減ったり、燃費が悪化したりする可能性が考えられます。
(3)乗り心地が悪くなりやすい
ドライバーの乗り心地が悪くなりやすい点も、ダブルタイヤのデメリットの1つです。
シングルタイヤに比べてタイヤの外径が小さいダブルタイヤは、クッション性が低下しやすくなります。また、タイヤの本数が増えて道路とタイヤの接地面積が大きくなる分、走行時の衝撃が車体に伝わりやすくなります。
そのため、ドライバーにとって走行時の快適性が下がりやすいでしょう。
ダブルタイヤに代わる「スーパーシングルタイヤ」の登場

トラック・バス用ワイドシングルタイヤ「MICHELIN X One(ミシュラン エックスワン)」を装着した車両
従来の日本では、大型トラック・バスの荷重を支えるためにダブルタイヤが採用されるケースが一般的でした。一方、近年のトラック・バス業界では、ダブルタイヤを超えるメリットを追求した「スーパーシングルタイヤ」が導入されはじめています。
ここでは、近年注目を集めるスーパーシングルタイヤについて紹介します。
(1)スーパーシングルタイヤとは
ダブルタイヤ

トラック・バスにおけるダブルタイヤの車軸構造図
スーパーシングルタイヤ

トラック・バスにおけるスーパーシングルタイヤの車軸構造図
スーパーシングルタイヤとは、ダブルタイヤを1本化したタイヤのことです。
広いタイヤ幅が特徴のタイヤであり、従来は2本のタイヤが必要だった荷重に対して、1本のスーパーシングルタイヤでダブルタイヤと同等の荷重に耐えることが可能です。
スーパーシングルタイヤについては、以下ページでより詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
(2)スーパーシングルタイヤ「X One」シリーズ
ミシュランタイヤは、1軸あたりの軽量化を実現したスーパー(ワイド)シングルタイヤ「X One(エックスワン)」シリーズを展開しています。1車軸あたり約100㎏(※1)の軽量化につながり、燃費向上を期待できる先進的な事業者向けタイヤです。
※1:275/80R22.5 アルミホイール装着ダブルタイヤとの比較例(ミシュランタイヤ調べ)
業務の効率化に向けて、ぜひ「X One」タイヤの導入をご検討ください。
以下のページでは、実際にスーパー(ワイド)シングルタイヤ「X One」をご活用いただいているユーザー様のお声を紹介しております。